DIARY OF WAR


 Diary No.46 「昭和十七年の今頃は・・・」

 福山連隊入営は2月1日でまさに寒中。三八式歩兵小銃は重く握っている手は冷たい。 擲弾筒は、オール鉄製ですから、水平に握っている手はしびれて落としそうになる。 芦田川の河川敷は、吹きさらしで寒さはこの上なし。 夕刻、ようやく兵営に帰ってみれば、衣服などが部屋中メチャクチャに・・。 古参兵が「貴様らの整理整頓はなっとらん。やり直おーし!!」と怒鳴る。 やれやれ、どれが自分のものかも解らない。同室兵一同で振り分けながらやり直し。 ようやく消灯ラッパ。寒い寝台にもぐり込み物寂しい音色を聞きながら目を瞑る。 漸く眠りにつこうと思った頃コツコツと足音。カチン、カチンと銃の引き金を引く音。 週番士官の巡察である。 すると「バチン!!!」という音。「やったなー」と思うや「一同起きろ!!」。 誰かが引き金を引かない状態で銃架に掛けておいたのだ。 「みんな起きろ!この銃は誰のだ!」 「ハイ自分のであります!」と兵が言うや「ビーン」とぶん殴られて吹っ飛んだ。  「なんで殴られたか解るか?バネが傷むんだ。解ったかー。終わり!」 そのまま行ってしまった。やれやれ。 軍隊の世界は連帯責任を重んじる。 誰を恨むこともない。いつか自分がヘマをやるかもしれないのだ。

Diary No.047
 

 

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